一般NISAを新NISAへ引き継ぐ作戦

令和5年度税制改正大綱等において、2024年以降のNISA制度が徐々に明らかになってきました。現時点では、2023年以前の一般NISAで買付けた証券は、2024年以降の新しいNISA口座へは移管ができないこととされています。

一般NISAで買付けた証券を新しいNISA口座へ入れる場合、前述の通り移管ができないため、売却した上で新しいNISA口座で買い直す必要が生じます。2019年~2023年が投資期間の一般NISAの証券を、新NISAの2024年の枠に入れることを考えてみますと、次の2通りが考えられます。

  1. 2024年に特定口座に払い出された証券を売却し、その資金を使って新NISA口座で買い付ける
  2. 2023年中に一般NISA口座で売却し、2024年になるのを待って新NISA口座で買い付ける

ここで1.が困るのは、払い出される特定口座に、払い出される証券と同一の銘柄がある場合です。例えば次の場合です。

  • 2023年に投資期間の終わる一般NISA口座にはVTIがある。取得額は100万円で、評価額で200万円分である
  • 特定口座にもVTI(同一銘柄)がある。取得額は100万円で、評価額が200万円である

上記の場合、1.のように2024年に払い出されてしまうと、特定口座には、取得額が300万円、評価額が400万円のVTIが存在するということになります。すると、払い出された後(2024年)に、新しいNISAの枠を使う目的で、VTIを200万円分売却すると、50万円の売却益があるとみなされてしまいます。税率20%とすれば10万円を譲渡益税として徴収されてしまうわけです。その結果、投資資金が税金のぶん減耗してしまう問題があります。

そこでこの場合には、2.を選択する必要があります。2.を選択し、2023年中に一般NISAの口座の証券を売却した場合には、税負担は生じません。

以上のように、既存のNISAで買付けた証券を新しいNISAで買い直す場合にあって、払い出される証券と同じ銘柄が特定口座にもある場合には注意が必要。買い直しを考えている場合には、2023年中に売却しないと課税されてしまう。という話でした。

新NISAの投資枠は1年間で360万円と報じられています。この枠を新規投資で埋めるのは、残念ながら私には困難なため、投資期間の終わった一般NISAの証券を売却し、充当する必要がありそうです。売却は2023年中に行う予定です。

関連記事

ジュニアNISAは18歳になったら新しいNISAに移管できる

コメント