昨年の電力不足以降、節電ムードが高まって、LEDライトが普及してきました。ただ、LEDライトが過大評価されている場面にも出くわすので、電球や蛍光灯との関係について現状をまとめておきます。
LED電球と蛍光灯は、便所に向かない
コスト的に考えると、便所だとか洗面所のような使用時間の短い場所は電球で十分です。
蛍光灯は、特に冬場に明るくなるまでに時間がかかるため、用が終わった時点でも明るく点灯しません。
LEDは高すぎます。例えば、便所の電気を一日に30分使用するとします。60W電球の場合1年の電気代は144円で、60W相当のLED電球の場合では23円です。1年あたりのランニングコストの差は121円。10年使っても1210円の差にしかなりません。(電球は60W、LEDは9.4W(60W相当)、電気料金は20円/kWhとして試算した)
電球はLEDに対して寿命が短い欠点がありますが、100円くらいで買えるので、大したコストではありません。一方、LED電球は少なくとも2000円くらいは覚悟する必要があります。初期投資の差額は10年でやっと1210円分ペイできるだけです。もっと価格が下がるのを待つべきです。
LEDと蛍光灯の電力効率はほとんど同じ
LEDの効率(可視光変換効率)は、蛍光灯とほぼ同じか、あるいは少し悪いです。これは非常に重要な事実であるにもかかわらず、あまり知られていないように思います。LEDのデバイス自体の値段は、蛍光灯に比べて何倍か高いですから、トータルコストを考慮すると、LEDを選ぶ理由はほとんどありません。LEDの発熱が小さいというのは誤解で、蛍光灯と大差ありません。
LEDは、温度が上昇すると効率が悪くなり、寿命が劣化しますので、100℃程度を超えないように使用しなくてはなりません。発光時には発熱しますから、規定の温度を超えないように放熱しなくてはなりません。こういうやっかいな問題があります。一方、蛍光灯はガラスと金属でできていて、熱に強い特性があります。また、熱は赤外光として外部に放熱される性質もあり、仕組みが単純で優れています。
色味の問題
電球は、LEDや蛍光灯にはない温かい光を発します。電球色タイプのLEDや蛍光灯があることはあるのですが、どうしても電球のように美しい光は再現できず、不自然になってしまいます。そのため、高いレストランやホテルなどでは、電球が使われます。
本当の電球色は、電球でないと出せません。結局、スペクトル(どういう波長の光がどのくらいずつ含まれているか)の問題なので、デバイスの構造に依存しており、残念ながら蛍光灯とLEDでは再現できません。
LEDは過大評価されている
電器店の店頭では、LED電球がいかにも電気代削減にテキメンで、エコでクリーンな最先端デバイスあるとセールスされています。が、LEDはさすがに高すぎます。ちなみに、LEDにはガリウム砒素という物質が使用されています。結晶なので、ヒ素が溶け出すことは考えにくいとされていますが、燃やすとヤバいです。このようにLEDはそれほどクリーンではありません。電球はタダのガラスと金属ですので、割って手を切るくらいしか危険性はありません。
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