国立大学の授業料免除

はてなブックマークの人気エントリにこんな記事が入っていました。元ネタはNHKのクローズアップ現代らしい。

奨学金が返せない – 若者の貧困に追い討ちをかけ、国際人権規約から逸脱する日本の奨学金制度

返済できない人を信用情報に登録するってのは、これ以上負債を抱えなくて済むという観点で悪いことじゃない気がしますが。

ちなみに、本サイトでは、これら制度について意見するつもりは無く、現行の社会的インフラを如何に活用するか、に重点を置きたいと思ってます。そこで、今日は、あんまり知られていない国立大学法人の「授業料免除」について書いておこうと思います。採択されるのはそれほど難しくありませんので、ご一考あれ。

授業料免除が認められると、授業料の全額あるいは半額を払わなくてokです。授業料免除は、大学の掲示板に知らせが出るはずなので、ちゃんと見ていましょう。んで、面倒くさがらずに申請すること。これ非常に肝心。前期と後期で年二回申請のチャンスがあるので、一回やってみて駄目でも、何度も何度もチャレンジしましょう。一回書いた申請書は、コピーしておくと二度目以降はイチから書かなくても済みます。

現在の国立大の授業料の標準額は下表なのですが、これがタダか50%offってアツくないか?

区分 授業料(年額) 入学料(入学時)
学部
大学院
¥535,800 ¥282,000

出典:国立大学等の授業料その他の費用に関する省令@文科省

さて、授業料免除が認められるための要件は、以下の2つ。

要件1.総所得金額の基準(お金持ちはダメよ、という基準)
要件2.まともに授業を受けてるか

このうちの要件2については、普通に授業を受けていて留年などしていなければほとんどokなはずです。成績はほとんど関係ないです。いろんな学部の学生を対象にしているので、そもそも成績を評価基準にすることができないです。

要件1は、家計の総所得金額が基準を下回っているかどうかです。この基準、全額免除の基準は結構厳しいかもしれないですが、半額免除の基準は多くの家庭で満たせるんじゃないかと想像してます。特に都市部以外だと、所得が低くて生活コストも低いというパターンがありますので、かなりユルい気がします。(統計を見た訳ではなく、勘で言ってます。)

総所得金額は、
総所得金額=総収入金額-控除額-特別控除額
で計算します。

総収入金額は、給与所得者の場合ですと、源泉徴収表の支払金額のことです。

控除額は、給与所得者の場合、以下のように計算します。
・ 収入金額104万円以下のものは収入金額と同額
・ 収入金額が104万円~200万円のものは、収入金額×0.2+83万円
・ 収入金額が200万円~653万円のものは、収入金額×0.3+62万円
・ 収入金額が653万円を超えるものは、258万円

特別控除額は、特別控除額表によります。

特別の事情 特別控除額
A 世帯を対象とする控除 [cir1 ] 母子・父子世帯であること。 490,000円
[cir2 ] 就学者のいる世帯であること。 小学校児童1人につき 80,000円
中学校及び中等教育学校の前期課程生徒1人につき 160,000円
国・公立高等学校及び中等教育学校の後期課程生徒1人につき (/自宅通学 280,000円/自宅外通学470,000円/
私立高等学校及び中等教育学校の後期課程生徒1人につき (/自宅通学 410,000円/自宅外通学  600,000円/
国・公立高等専門学校学生1人につき (/自宅通学 360,000円/自宅外通学 550,000円/
私立高等専門学校学生1人につき (/自宅通学 600,000円/自宅外通学 800,000円/
国・公立大学学生1人につき (/自宅通学 590,000円/自宅外通学 1,020,000円/
私立大学学生1人につき (/自宅通学 1,010,000円/自宅外通学 1,440,000円/
国・公立専修学校高等課程生徒1人につき (/自宅通学 170,000円/自宅外通学 270,000円/
私立専修学校高等課程生徒1人につき (/自宅通学 370,000円/自宅外通学 460,000円/
国・公立専修学校専門課程生徒1人につき (/自宅通学 220,000円/自宅外通学 620,000円/
私立専修学校専門課程生徒1人につき(/自宅通学 720,000円/自宅外通学 1,120,000円/
[cir3 ] 障害者のいる世帯であること。 障害者1人につき 860,000円
[cir4 ] 長期療養者のいる世帯であること。 療養のため経済的に特別な支出をしている金額。
[cir5 ] 主たる家計支持者が別居している世帯であること。 別居のため特別に支出している金額。ただし、710,000円を限度とする。
[cir6 ] 火災、風水害、盗難等の被害を受けた世帯であること。 日常生活を営むために必要な資材あるいは生活費を得るための基本的な生産手段(田・畑・店舗等)に被害があって、将来長期にわたって支出増又は収入減になると認められる年間金額。
[cir7 ] 父母以外の者で収入を得ている者のいる世帯であること。 父母以外の者の所得者1人につき380,000円。

なお、その所得が380,000円未満の場合はその所得額。

ただし、本人及び配偶者の所得については控除できない。

B 本人を対象とする控除 (高等学校及び中等教育学校の後期課程)
(/自宅通学 190,000円/自宅外通学 380,000円/
(高等専門学校) (/自宅通学 210,000円/自宅外通学 420,000円/ (大学・大学院・短大) (/自宅通学 280,000円/自宅外通学 720,000円/
(専修学校専門課程) (/自宅通学 200,000円/自宅外通学 600,000円/ (専修学校高等課程) (/自宅通学 120,000円/自宅外通学 230,000円/

で、以上計算した総所得金額が以下の基準を下回っていれば要件1を充足します

総所得金額の基準
半額免除の基準 全額免除の基準
世帯人員 大学・短大 大学院 大学・短大 大学院
1人 1,670,000円 1,820,000円 880,000円 960,000円
2人 2,660,000円 2,900,000円 1,400,000円 1,520,000円
3人 3,060,000円 3,340,000円 1,620,000円 1,770,000円
4人 3,340,000円 3,640,000円 1,750,000円 1,920,000円
5人 3,600,000円 3,930,000円 1,890,000円 2,080,000円
6人 3,780,000円 4,120,000円 1,990,000円 2,170,000円
7人 3,950,000円 4,320,000円 2,070,000円 2,260,000円

例えば、年収600万円の3人家族の家庭で、本人が自宅外通学している場合では、総所得金額は、

①600万円 - ②(600万円×0.3+62万円) - ③72 万円= ④286万円

①:年収
②:控除額
③:特別控除額
④:総収入額

となりますので、全額免除の基準は満たせませんが、半額免除の基準を充足します。これに例えば兄弟がいて、大学在学中だったりすれば、全額免除の基準を満たす可能性は十分あります。家庭の年収が600万円って、決して貧乏では無い気がしますが、免除申請は可能です。

さて、ここまで基準を示しましたが、基準を満たしたからといって必ず免除されるわけではありません。文部科学省の通知 授業料免除の取り扱いについてによれば、各国立学校における免除実施可能額が示されていて、大学の場合は授業料収入予定額の5.3%とされています。たぶん、各大学で応募者を順序付けして、上から何人、というように決めるのではないかと思われます。

ただし、この率は決して絶望的なものでは無く、どっちかというとユルいように見えます。例えば全額免除と半額免除の採用者数が半々だったとすれば、全学生の7.95%≒8%がどちらかの免除を受けることができる数字です。周囲の友人を見回してみてください。この制度にそれほど多くの学生が殺到すると思えますか?自分が採択される可能性はかなり高くないでしょうか?

申請書類を揃えるのは結構面倒ですけれど、労力を上回る利得があります。この制度、使わない手はありません。

参考:
文部科学省高等教育局長通知「授業料免除選考基準の運用について」@文科省

文部科学省高等教育局長通知「授業料免除の取り扱いについて」@文科省

平成22年度後期授業料免除申請要領@一橋大←国立大はどこでもほとんどこれと同じはず。

日本育英会奨学金の報奨金制度@馬坂コム

複数口の奨学金の月々の返済額は減額できる@馬坂コム

日本学生支援機構から全額繰上通知が届いた@馬坂コム

日本学生支援機構から報奨金が届いた@馬坂コム

コメント / トラックバック6件

  1. 三毛猫 より:

    馬坂さん、はじめまして。
    過去記事に突然コメントすみません・・
    こちらの記事をトラバさせて頂きました。
    ありがとうございます♪

  2. admin より:

    三毛猫さん、こんにちは。トラックバックありがとうございます!

  3. Teddy@田舎 より:

    はじめまして。面白い記事をありがとうございます。引用させて頂きました。
    http://ruralpostdoc.com/essay/48-classfee-japan.html
    ウェブサイトにトラックバック機能がないので、コメントさせて頂きます。

  4. […] 特別控除額は、特別控除額表によります。 引用元-国立大学の授業料免除 ≪ 馬坂コム […]

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