カーオーディオにBluetooth受信機を取り付けてオルタネータノイズに悩まされた顛末

カーオーディオのAUX端子にBluetooth受信機を取り付けた話まで既に書きました。

しかし、エンジンの回転数と同期したヒューンヒューンという雑音(オルタネーターノイズ、alternator whine)が入ってしまいました。結果的には、Bluetooth受信機とカーオーディオの間にラインノイズフィルターを挿入して解決したのですが、そこにたどり着くまでの道のりは長かったので書いておきます。

対策1 シリーズレギュレータを追加→効果無し

最初、原因は電源にあるのではないかと予想しました。オルタネーターの発生した脈打った電源波形が、Bluetooth受信機の電源に乗って、それが音声信号を変調しているのだろうというものです。バッテリー駆動されたスマートフォンをアンプに接続した場合には、ノイズは一切生じないことも根拠の一つでした。

Bluetooth受信機(LBT-AVWAR500)の電源はUSBジャックから取る5Vですが、内部的にはGS1117Y33というLDOで生成された3.3Vで動作しています。このデバイスはGlobaltech Semiconductorという台湾の会社の製品で、LM1117のセカンドソースらしき型番です。

当初、このLDOの特性が悪いのかと疑いました。GSとLMのRipple Rejection vs Currentのグラフ示します。

GS1117LM1117

まずGSのグラフ中のfRIPPLE=20Hzは、20kHzの誤りである可能性が高いです。以後誤りであると仮定して説明を進めます。上記プロットから無負荷時のRipple Rejectionを比べてみると、

GS1117 LM1117
Ripple Rejection @120Hz 70dB 85dB
Ripple Rejection @20kHz 45dB 68dB

とだいぶ異なることが分かります。LM1117のセカンドソース(?)を目指すデバイスが、ループ利得でLM1117に対してがだいぶ劣ることが見て取れます。またさらに、先に書いたようにGS1117のデータシートには誤記がありますが、LDO程度の単純なデータシートで、誤りが残っているというのも、信頼性の低さを予感させます。

そこで、GS1117の前段に入れていたエーモン2880 USB電源ポートをシリーズレギュレータ化してみることにしました。下記のような電源スキームです。

対策前 12V -> DCDC(エーモン2880) -> LDO(GS1117) -> 3.3V
対策後 12V -> REG(NJM7805) -> LDO(GS1117) -> 3.3V

ところが、何の改善も見られませんでした。

 対策2 Bluetooth受信機をグレードアップ→効果無し

電源を改善しても効果が無かったので、Bluetooth受信機をグレードアップしてみました。AVWAR500 -> AVWAR700です。

AVWAR700の方は、Wolfson社DAC採用との情報があり、ブランド的に期待ができるような気がします。例えば対策1で電源の脈を完全に平滑化できていなかったとしても、DACやアンプのPSRが良ければ、ノイズが減少するのではないかと考えたわけです。

B00E9Q9DPE ELECOM エレコム iPhone6s/6s Plus対応 Bluetooth オーディオレシーバーBOX NFCペアリング機能搭載 高音質コーデックAAC/aptX対応 光デジタル出力搭載 LBT-AVWAR700
エレコム 2013-08-10by G-Tools

期待に反して、効果はありませんでした。以下にAVWAR700のボード写真を置いておきます。画像をクリックすると大きくなります。

AVWAR700

Bluetoothモジュールは、CANに入っていてどこ製か不明です。電源は変わらずGS1117です。WM8524 はDACで、3.3V電源にもかかわらずライン出力をドライブできるという代物です。WM8804は光デジタル出力の生成で使用されています。

 対策3 Bluetooth受信機の電源0Vを、音声信号ラインの外側導体(GND)から取るように接続変更→大分効果あり

対策1と対策2を通じて、どうやら電源は関係ないのでは?と思えてきました。そして、信号源とアンプのGND電位差に原因があるのではないかと思えてきました。

信号源(Bluetooth受信機)やアンプ(カーオーディオ)の音声信号は、シングルエンドです。そのため、信号源とアンプ両者のGND電位は、少なくとも音声帯域において、同電位であることが期待されます。

しかし、ラインケーブルやGND配線に、磁気的な結合で電位差が生じたりすれば、これは雑音になります。特に今回の場合、信号源とアンプの間には、GND接続が2経路あります。一つは電源の0V配線、もう一つがラインケーブルのGNDです。結果として、ループ状のGNDワイヤーが形成されることになり、オルタネーターに同期した磁界変化があれば、これを拾って両GNDに電位差を生じます。

そこで、このループを解消するために、信号源側の電源0Vを、音声信号のラインケーブルから取るように接続変更しました。すると、耳障りだったノイズが、注意すれば聞こえるものの、走行中はほとんどわからない程度に改善しました。

対策4 Bluetooth受信機とカーオーディオの間にラインノイズフィルター(トランス)を挿入→完全に解決

対策3では、ノイズはだいぶ低減されたものの、注意すれば聞こえます。この原因は、信号源とアンプの間のGND配線に、磁気的な結合によって雑音電圧が励起されて、それが聞こえることにあります。これを完全に解消するには、Bluetooth受信機とカーオーディオの距離をより短縮することが効果的と考えられます。しかし、ティーダのAUX端子は、トランクをかなりバラさないとアクセスできない位置にあって、Bluetooth受信機を同じく奥深くに埋め込むことは、後でいろいろしたいときに面倒です。そこで、信号源とカーオーディオの間にトランスを挿入してみました。このトランスは、ラインノイズフィルターという名前で売られています。これにより、信号源とカーオーディオの間の電気的な接続が無くなります。

その結果、ノイズは完全になくなりました。オーディオのボリュームを最大にしても、全く聞こえません。以下がaudio-technica社のラインノイズフィルターAT-NF200の分解写真です。中身はただのトランスです。

AT-NF200

B0045GZDF2 audio-technica オーディオテクニカ AT-NF200 ラインノイズフィルター
オーディオテクニカ

以下、取り付けた様子です。トランク下のスペアタイヤ横のスペースに、両面テープで貼ってあります。左からNJM7805によるレギュレータ、中がBluetooth受信機BT-AVWAR700、右がラインノイズフィルタです。

Final

上記写真では、自作のシリーズレギュレータ電源が使われていますが、これは試行錯誤の過程でできてしまったから使っているだけで、多分以下のような市販品で十分です。

なお、BT-AVWAR700の消費電力は、以下記事によれば、待機時402mW 再生中286mWです。

LVのアンプでスマホ・iPodのワイヤレス再生対応化@マルツオンライン

GS1117Y33の最大許容損失は0.5Wですので、直接車の電源(12V~14)を印加することはできません。

B00SKE0EHW エーモン 2880 USB電源ポート
エーモン工業(amonkogyo)

過去記事:

日産TIIDA JC11のAUX入力端子@馬坂コム

ELECOM社製BluetoothオーディオレシーバLBT-AVWAR500@馬坂コム

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